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大阪経済大が2年ぶり4度目の全国制覇。

 大学準硬式最大のチャンピオンシップ「文部科学大臣杯第75回全日本大学準硬式野球選手権大会」は8月28日、くら寿司スタジアム堺で決勝戦が行われた。昨年の決勝戦と同じ顔合わせの日本大―大阪経済大の対決となり、6―3で大阪経済大が勝利し2年ぶり4度目の優勝を果たした。

 大経大は2回表、2死二塁のチャンスをつくると、7番喜多尚希(4年=東海大仰星)の左安打で幸先よく先制に成功。日大はその裏、1死二、三塁の場面で8番小川慶人(2年=日大豊山)が2ストライクからスクイズを決め同点に追いつく。前回王者の実力を見せる。

 同点で迎えた3回表、1死満塁と再びチャンスをつくると、6番橋本大志(4年=三田松聖)の三遊間を破るレフトへの適時打で勝ち越し。その後相手のエラーもあり一挙3得点。8回には1番伊藤元翔(3年=初芝橋本)のスクイズ、2番成清圭(4年=市尼崎)の適時打でダメ押しの2点を加え日大を突き放した。

 3点リードの9回。最後の打者を左飛に打ち取ると、マウンドの沢田健登(4年=西城陽)のもとに選手たちが集まり、歓喜の輪を作った。

昨年の決勝と同じ日大との対決。日大の姿勢が勉強になった。/大経大・高山主将
 高山直之(4年=日本航空石川)は「リーグ優勝も逃しているチームではありましたが最後の最後に全日本優勝することが出来て本当に良かったと思っています」と胸をなでおろし、日本一を喜んだ。
「昨年本当に悔しい思いをしたと同時に日大さんの姿勢が勉強になりました。昨年と同じ日大さんとの決勝ということで作戦や選手も昨年から変わっていない部分が多かったのでしっかりと準備をして臨むことが出来ました」。

 高校3年次には野球を続ける気が無かったという高山。高校の先輩が準硬式野球を選択しており、その先輩から準硬式野球の良さを知ったという。その魅力について高山は「バイトや勉強と両立できるのは硬式野球には中々ない魅力だと思いますし、サークルや軟式と硬式の中間的な存在として準硬式野球は非常に意義のある存在だと考えています」。

 高山はこの全日本大会で引退をし、次のステージに進むが今後の準硬式野球の展望について、「準硬式野球からプロ野球という例もありますし、レベルが上がってきていると思います。少しでも多くの人に準硬式野球を知ってもらい、多くのお客さんの前で野球をやってもらいたいという想いはあります」と今後の準硬式野球に期待を示した。

大経大の主将・高山直之(4年=日本航空石川)
決勝戦の雰囲気に飲まれてしまった。素晴らしいチームをつくってくれた中島主将に感謝/日大・米崎監督
日大・米崎寛監督は「決勝独特の雰囲気に飲まれたという印象です。勝てなかったとしてもこの1年、“全日本優勝校”として取り組む経験をしたのは彼らしかいません。人生経験としては良いものになったのではないかと思います」と悔しさはありつつも清々しい表情で話してくれた。
 これから始まる新チームについて、「下級生は”勝つ“ということが身近になっていると思います。2年連続で全日本の決勝の舞台に立てたこと、それに下級生が立ち会えたことは非常に良い経験となると思うので良き見本としてもらいたいです」という。
 さらに引退する4年生については「今回の決勝戦で負けてしまったことは何かの意味を成すと思うので、社会人という次のステップでの活躍の土台となれば嬉しいです」と語った。
「これだけ素晴らしいチームを作ってくれた中島健輔主将には感謝しかありません。チームのために個人が動けるようになり、応援されるチームになれたと思っています。野球以外の応援や、グラウンド整備を自然とできる野球人となってくれたのは指導者としてこれほどうれしいことはありません。メンバーに入れなかった選手は野球に飢えていると思いますのでまた秋のリーグ戦から取り組みたいと思います」と語った。

日大の主将・中島健輔(4年=日大鶴ヶ丘)

編集後記
 準硬式野球は勝ち負けというスポーツとしての価値を超越した新しい野球であると考えている。これからの準硬式野球を選手、応援してくださる方々と一緒に飛躍させていければ更なる可能性が広がると感じた。

文/青山学院大・山田力也(4年=成蹊)