「体育会ナビカップ関東JUNKOオールスター大会2023」(6月30~7月2日、福島・泉崎村)は関東地区連盟の学生委員が企画運営する学生のための大会だった。学生が主体となって準備を進めてきただけに、運営は予測不能の出来事との闘いでもあった。学生委員としてこの大会に帯同した亀谷七海記者(専修大2年=専大付属)が、大会実施までの苦労、運営の奮闘、頼もしく見えた4人の4年生をレポートする。(前・後編の今回は後編)
■女性目線で「野球だけじゃない」準硬式の広報に尽力した安藤
4年生の学生委員の中で唯一の女性、安藤成美(神奈川大4年=横浜平沼)。安藤は主に広報の面でこの大会を大きく引っ張り、支えた。大会を迎えるにあたって現在力を入れて運用を行なっているTwitterや Instagramのような準硬式野球に興味のあるフォロワー向けの情報発信では足りないと考え、Yahoo!ニュースやテレビなどの準硬式野球部を知らない人の目にもつく広報の実現を目指した。これは同じ大学に通う友人から神奈川大の選手が載っていた記事が出た際に「神大の選手が載ってたね」と言われた際にメディアの力を感じたからだという。
スポーツ報知や、地元メディアのふくしま中央テレビに対し、ただ試合をするだけでない準硬式野球ならでは海ごみ削減プロジェクトなどの地域との交流をアピールした。社会に出て通用する人間性を高められるイベントを大切にしたいとInstagramにも各イベントを一つずつ投稿することにした。
安藤は「今大会で意識の変化を目標にしていたんです」と言う。「準硬式野球は高いレベルで野球を続けられると共に私生活との両立ができる点が魅力の一つで、野球をもう一度本気で頑張りたい人、ここまでやってきた野球を私生活はありつつも軽くでいいから続けたい人、理由は様々だがそれはチーム内での溝となっている場合もあります。神奈川リーグに比べて、東都や六大学は勝ちにこだわる選手が多いので他リーグと交流することで個人の意識やチームの目指す姿に良い影響を与え、結果的に関東地区全体の底上げができると思ったのです」。
安藤は自身の経験を後輩にも繋げたいと考えている。自身が先輩から学んだ「司会の重要性」もそのひとつだ。間や発音一つで印象が大きく変わり、それは式の成功だけでなく大会の成功すら左右する。「事前準備として、司会原稿にただ確認して目を通すだけじゃなくて、私が昨年の学生副委員長の堺沢聡子さんにして貰ったように、私もその司会を担う子と一緒に何回も練習したいし、言葉一つ一つとその式の流れを頭に叩き込んでほしい。私は聡子さんに、司会がいかに重要なのか教えていただいたから、今度は私が司会の重要性を教えられる先輩になりたい。」と語る。
■全体を統率した杉本委員長は「この経験は学生のためにもなる」と確信
最後に杉本優友学生委員長(創価大4年=関西創価高校)から話を聞いた。杉本は主に旅行会社と連携して宿舎や球場の確認、施設の利用確認などを行った。それぞれの場面で必要な施設や物などを現地に行くことができない中で準備した。
スケジュール調整は、イレギュラーな事態まで想定して各イベントや試合、移動の時間を考慮し、無理がなく無駄のないよう考慮した。「全体を見て適切な行動をするために全員の行動を細かく把握するようにしました。役割が決められていない人に対して足りない部分の声掛けを意識し、手が空いている人が他の部分のフォローに回れるように行動した。
杉本は今大会を「学生のためになる」ものだと確信する。この経験が選手にとっても、準硬式野球の活動がより楽しいものに変化したことを感じたからだ。杉本は学生委員一人一人の強みや性格を把握して、仕事を振っていた。山根も杉本を高く評価しており、これが学生委員長のあるべき姿なのではないかと感じた。
■4年生の意志を受け継いで…
今回の取材を通して4年生の思いや葛藤を知ることができた。一人一人が大会を成功させるために、自分のためではなく皆のために行動していていたことを知り、今大会における学生委員の存在の大きさを感じた。それとともに自分に足りない部分を感じ、改善し今後に活かしていきたいと思った。今大会で奮闘した4年生やその他学生委員の残してくれた実績、課題は後輩へとしっかりと引き継がれたことだろう。私は今後の準硬式野球の発展を確信した。4年生が中心となり作り上げた今大会。完璧に思えた4年生の仕事ぶりにはそれを裏付ける奮闘と葛藤があった。私自信も多くの学びを得たこととともに自分の経験、力不足を痛感した。準硬式野球のさらなる発展のために4年生の意志と今回の経験を引き継いでいきたい。
(文/亀谷七海・専修大2年=専大付属)