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「野球を楽しむ」気持ちあふれる女子野球の魅力/関東準硬式レディース

 関東地区大学準硬式野球連盟には「関東準硬式レディース」というチームがあるのをご存知だろうか。関東準硬式レディースとは、関東地区大学準硬式野球連盟に所属する女子部員で結成されたチームで、未経験者から、野球やソフトボール経験者、現在も選手として活動する部員などすべての「野球がしたい」という思いを持つ人が集まった女子チームだ。
 そして11月3日から4日にかけて関東準硬式レディースは、「野球が大好きな彼女たちに思いっきりプレーして欲しい」という想いから開催された、栃木市杯第3回栃木さくらカップ2023に参加した。今回のメンバーは準硬式野球を女子選手活躍の場とするため集まった、普段はそれぞれの大学で選手やマネージャーとして活動する18名だ。チームのキャプテンを務めたのは普段から選手として活動する川上さくら(高崎健康福祉大・4年)だ。

男子選手の存在で「追いつきたくて頑張れる」
 川上が野球を始めたのは大学に入学してからであった。高校生までソフトボールをしていた川上は、興味のある分野を学べる大学に進学したが、そこにソフトボール部はなかった。野球部に興味を持ったものの、男子選手しかいなかったことから入部しなかった。転機が訪れたのは1年秋。大学野球部の監督が、川上の出身高校の先生であることを知り、野球部に入部した。しかし、男子選手が集まる野球部では実力も体力も劣っていると感じ、メニューについていけないことも多々あった。そんな中でも川上は「追いつきたくて頑張れる」と前向きに練習に励んでいる。
 ではなぜ、男子選手の中でも頑張れるのにあえて女子チームに参加を決めたのか。その答えは「試合に出たいから」という簡単なものだった。男子チームで得られるものは大きいが、どうしてもどれだけ練習を重ねても試合に出られる機会は少なく、自分の実力を試す場所が少ない。最初は練習だけでも満足していたが次第に試合に出られたら楽しいだろうなという思いが強くなり、女子チームで自分の力が役立てばいいと思うようになったという。

チームのキャプテンを務めた川上さくら(高崎健康福祉大・4年)

勝ち負け以上に「野球を楽しむ」という思い
 普段は男子選手と共に活動する川上は、昨年に引き続き今年もさくらカップに女子チームの一員として参加し、何を感じたのか。真っ先に上がったのは「雰囲気」だった。実際にさくらカップのベンチは常に前向きで明るく元気で、ミスがあったとしても前向きな発言が飛び交う。さらに、たったひとつのヒットやアウトでも非常に盛り上がる。試合に出ている選手はもちろん、ベンチにいる選手からスコアラー、監督までもが一体となるのだ。勝ち負け以上に純粋に「野球を楽しむ」という思いがあふれる女子野球には女子チームならではの魅力があった。
 準硬式野球には野球を楽しみながら勉強や私生活も充実させることができるという魅力がある。野球の楽しみ方も多種多様だ。レベルの高い男子チームで選手として活動する道、女子チームで選手として活動する道、普段はマネージャーとして活動しながらも選手として練習に参加する道など様々だ。準硬式には選手やマネージャー関係なく女性でも積極的な参加や活躍ができる場がある。性別に囚われず全ての人が野球を楽しめる環境があるということは準硬式ならではの魅力ではないだろうか。

得点した川上(高崎健康福祉大・4年)と笑顔で迎える平川(防衛医科大・3年)

新たな選手を待つ関東準硬式レディース 
 今年のチームは半数が選手、半数がマネージャーとして普段は活動する18名であった。経験はさまざまで、普段から野球をしている人だけでなく数年ぶりにボールに触る人や、ソフトボール経験のみの人もいた。事前に練習会は複数回あったが、全員が初めて集まったのは大会当日となった。それでもプレーする中で仲を深めていった。川上は女子選手について、未経験でもいいから増えてほしいという。「野球をやりたい気持ちがあればチームとしていい雰囲気にできると思う」そんな思いを語る川上がキャプテンを務めた関東準硬式レディースは全員が新たな選手を待っている。迷っているのであれば、まずは練習会にだけでも参加してほしい。女子野球ならではの魅力を感じられることだろう。関東準硬式レディースは、準硬式野球を「野球がしたいすべての女子選手活躍の場にしたい」という想いから生まれた。昨年から今年にかけて、各大学の準硬式野球部に入部する女子選手は増加した。「準硬式という選択肢」が野球をやってみたいと思う高校生や大学生の新たな活躍の場になるはずだ。


(文/関東地区大学準硬式野球連盟学生委員 専修大学 亀谷 七海)

「野球を楽しむ」という思いがあふれる女子野球ならではの魅力

「準硬式という選択肢」が女子選手活躍の場となる