“JUNKOWEB”

清瀬杯出場を勝ち取った新関東リーグの日本大三崎町、創価大の奮闘

 清瀬杯54回全日本大学選抜準硬式野球大会が9月4日から愛知で行われ、関東地区4校出場のうち、新関東リーグから創価大と日本大三崎町の2校が出場した。
 新関東リーグは現在3部16チームが所属しているリーグである。医科大や美術大、薬科大なども所属し、実習や研究などがあるため野球に多くの時間をかけることのできないチームがほとんどである。リーグ戦も北里大のグラウンドを3部共同で使っているが、そんな環境でもこの2校は関東地区予選を勝ち上がり、清瀬杯への出場を決めた。六大学、東都と比べて知名度が低く、有名選手が少ない新関東リーグ2校の清瀬杯までの道のりを紹介したいと思う。

■逆転で勝ち上がった、日本大三崎町
 日本大三崎町は、日本大の法学部があるキャンパスのチームである。春のリーグ戦は逆転勝利が多く、予選会でも高崎健康福祉大との試合で4点ビハインドから最終回に一挙に6点を取り8対6で勝利した。キャプテンの石神潤一(3年・日大高)は「(新関東のリーグ戦や予選会は)苦戦することが多かったですが、清瀬杯もチームのみんなで力を合わせて戦うことができました。全員が集まっての練習は少なかったですが、練習が少ないことを全員が理解していたからこそ1回の練習に集中し、個人でコミュニケーションをしっかりとっていたことが粘り強い戦いに繋がったと思います。清瀬杯での良い経験を活かして、でた課題を潰して、レベルアップした三崎町として戦っていきたいです」と語った。

プレーでチームを引っ張る日本大三崎町の石神潤一主将

■高校時代に活躍できなかった選手も清瀬杯で活躍
 同リーグ戦で優勝し、予選会も勝ち抜いた創価大。キャプテンの茂見勇輝(3年・関西創価)は「リーグ戦では、日本大三崎町に負けてからの切り替えが上手くでき、1試合ずつ成長ができました。国士舘大に9回に逆転され敗北し、野球の難しさを改めて感じました。清瀬杯では、高校時代に活躍できなかった選手が多い中で、両親やOBの方などに最高の瞬間を見せることができました」と語った。リーグ戦での強さは圧倒的だったが、新チームスタート時の練習試合では全く勝つことができなかった。そこから練習で、茂見主将を中心に”明るい声”と”伝え合う”という事を大事にした。「チームとしては、自分達の感じた事をミーティングや、練習を止めてでも伝え合うことで全員が成長できたと思います」と茂見主将。「代が交代をして人数が少なくなってしまいましたが、その分試合に出られることを全員が楽しんで、全国制覇を目指します」と新たな目標を口にする。

リーグ戦で力投し優勝に貢献した創価大の茂見勇輝主将

 創価大には、さらに注目すべき選手がいる。清瀬杯に代打で出場しツーベースヒットを放った、橋本皓介(3年=関西創価)だ。高校時代は帰宅部だったが、大学入学後に友達に練習の体験会に誘われ、野球を楽しんでいる同期の姿を見て入部を決意したという。「小中学校時代は野球をしていました。大学では軟式野球をやろうかなとも考えていましたが、楽しそうに準硬式野球をしている同期を見て、もう一度プレーしたくなりました」と語る。「試合に出ることは多くはなかったですが、チームの1人として、勝利だけを見て行動してきました。練習では雰囲気を盛り上げること、楽しむこと、そして、高校時代に帰宅部だったからこそ、人から学ぼうという気持ちを大事にし、人にアドバイスを求めに行きました。高校時代の経験が無いので、知識をつけようとして、素直にアドバイスを受け入れられました。」高校野球を経験してないという所からきている向上心が、橋本のひたむきな姿から感じる。自分の固定概念にとらわれることなく多様な考えを受け入れて行動しているのだ。経験が無いということは、一見ハンデの様に感じるが、経験が無いということも一種の成長の糧になることを感じた。

高校時代は帰宅部だったが、現在は向上心あふれる創価大・橋本晧介選手

 新関東リーグは周りと比べると歴史も浅く、環境も整っているとは言えない。新関東は“これから”のリーグなのである。熱い志を持った選手が、これからの新関東の歴史をつくっている。清瀬杯に出場したこの2校はもちろん、他の大学や選手達にも注目してほしい。

(文・写真/杉本優友=創価大・3年)