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上越教育大が大会2連覇 2022年秋季北信越地区大学準硬式野球大会

9月30日(金)から10月3日(月)にかけて、石川県で2022年秋季北信越地区大学準硬式野球大会が開催された。北信越地区に所属する全17チームによるトーナメント戦で今年の北信越No.1が決まる大会である。3日に行われた決勝戦の結果、13―4で上越教育大が新潟大医学部を下し、大会2連覇を達成、北信越の頂点に輝いた。

優勝した上越教育大の辻本謙斗主将(3年=美方)は「大会を通して、『自分たちの野球をすること』に集中してゲームができた。初戦から決勝まで苦しい試合が続いたが、自分たちの野球ができたことが勝利という結果に結びついたのではないかと思います」と大会2連覇の喜びを噛み締めた。

 昨年は、春秋2季連続で優勝し、今年も春季大会で準優勝、清瀬杯に出場した北信越の“絶対王者”の戦いは決して楽なものではなかった。1回戦の富山大戦は先発の鈴木が序盤に2点のリードを奪われる厳しい展開。それでも、6回2死から高野、五十嵐、菊池の3連続タイムリーで逆転。準決勝は打倒、上越教育大を掲げる金沢星稜大に7回裏3点を勝ち越されるも、8回表、高野、菊池、五十嵐の活躍により試合をひっくり返し、勝利を収めた。迎えた3日の決勝戦では、序盤から得点を重ね、6回に6本の安打で大量得点。横綱野球で圧倒した。7回4失点で勝利投手に輝いた澤田健太(3年=大野)は「打たれても守ってくれる守備陣や逆転してくれると信じることのできる攻撃陣、1つになって声を出して戦ってくれるベンチといったチーム全体の雰囲気が気持ちを乗せてくれた。こういったチームの一体感が勝利につながったと思います」と好投の要因を話した。
上越教育大は、全国大会での1勝を達成すべく、選手権大会の出場権がかかる来年の春季大会でも優勝を目指す。

■コロナ禍での活動制限を乗り越えて〜新潟大学医学部
 コロナウイルスが猛威を震い出した2020年の3月以降、最も活動が制限されたのは医歯薬系のチームだった。新潟大医学部の北信越大会出場は実に3年ぶり、2019年秋季北信越大会、以来の出場となった。それでも間中直悠(2年=横浜南)、小松健太郎(2年=旭丘)の二枚看板を軸に昨年、準優勝の信州大、昨年、清瀬杯への出場権を獲得した石川県の強豪、金沢大法文経国際学部を下し、準優勝。上村絃大郎主将(3年=東海)は「この3年間コロナによる活動制限が厳しく、2年間にわたり練習や公式戦への出場ができなかった。今年に入り活動制限が緩和され、日々練習してきた成果が実った準優勝でしたが、優勝には一歩及ばず悔しさの残る大会となりました」と振り返る。決勝戦で5回裏に、2点差に迫るライトスタンド上段に飛び込む2点本塁打を放った小黒颯士(1年=長岡)は「来年の春季大会では上越教育大にリベンジし、選手権大会に出場したい」と今後の目標を語った。
 2018年の春の北信越王者は通常の練習すら行えず、試合経験も全く積めなかったコロナ禍の壁を乗り越えて、新たな挑戦を始動させた。

活動制限から復活の準優勝を成し遂げた新潟大学医学部

■東西対抗日本一決定戦甲子園大会出場予定者も躍動
 秋季北信越大会では、北信越代表として11月に甲子園で開催される東西対抗日本一決定戦の西日本選抜チームに選出された3選手も大いに大会を盛り上げた。
 金沢星稜大の投手、春木奎吾(1年=大野)は9月30日の初戦、金沢医科大戦では最速141キロをマーク。3イニングをホームスチールのみの1点に抑えて貫禄を見せつけた。東西対抗甲子園大会ではさらにレベルアップしたピッチングを見せてくれるであろう。

金沢星稜大学の春木投手

 金沢大教育学部の捕手、梶康太(2年=富山東)は強肩と共に、7打数2安打3打点と勝負強いバッティングを披露した。また、人数が少ないチーム事情もあり、投手としても出場。140キロに迫る伸びのある直球を武器に、二刀流としての片鱗も見せた。
 信州大の内野手、阿部洸(3年=都市大塩尻)は二試合目の新潟大学医学部戦でレフトオーバーのタイムリースリーベースを放ち、持ち前の長打力と走力を披露した。

 審判員として出場予定の金沢大医学部の塩村来太学生委員長(4年=小松)は公認審判員として5試合に出場し、決勝戦では球審を務めた。石川県野球協会審判部に所属し高校野球などでもジャッジをする塩村委員長は、決勝戦では他の3人の塁審を束ね、8回表の本塁クロスプレイでは、パンチアウトを繰り出すなど、正確かつキレのあるジャッジで試合を盛り上げた。

決勝戦の球審を務めた塩村学生委員長

 北信越地区は上越教育大、新潟大医学部を初め17チーム中15チームにおいて学生が試合の指揮を取るなど、学生主体の運営やチーム作りが盛んな地区である。秋季大会の成績をもとに選出された精鋭25名は、11月に福岡県で開催される9ブロック大会で初の決勝トーナメント進出を目指す。北信越選抜では上越教育大の辻本謙斗が主将を務め、澤田、間中、梶、阿部など秋季大会で活躍した選手が出場する。

(写真/金沢大学教育学部 大門明日奈)
(文/金沢大学医学部 塩村来太、黒崎宗矩)