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現役部員が教える!準硬式のリアル vol.1 運営の裏側

大学準硬式野球の実態を現役部員の青山学院大学・山田力也選手(成蹊高校=3年)が実体験をもとに語り尽くすコーナー「準硬式のリアル」。今回は6月に行われた東都大学準硬式野球THE ROOKIE TOURNAMENT(新人戦)の運営に尽力したマネージャーにお話を伺いました。

 

自身のリーグ戦と大学テスト期間やらインターンで記事更新が滞ってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。高校野球では私の母校は久々に勝利を収めまして、安倍晋三氏の弔い星だと言われておりました。またそのことについても記事にできればと思います。遅ればせながら改めまして私の中学・高校の先輩にあたります、安倍晋三氏のご冥福をお祈りいたします。

さて、新人戦がはるか昔のように思えてしまう今日このごろだが、改めて秋リーグに向けて新人戦をトレースし、1・2年生にはその意義についてもう一度考えこれからの野球に活かして頂きたいというささやかな思いを持つ。

前編はこちらから↓

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今回お話を伺ったのは東都リーグでチーフマネージャーを務める日本大学の田口琳珠(4年=市川)。呼び捨てにするのもおこがましいほど関東地区学生委員時代にはお世話になり、今こうして記事を書いているのも田口先輩のご指導ご鞭撻があったからだ。
そんな偉大な先輩である田口に

・新人戦運営の大変さ

・東都リーグに期待することと課題点

についてお話を伺ってきた。

新人戦運営の大変さ
新人戦運営は1日4試合をこなすかなりタフなものだ。ただ田口は表情すら変えずに「全く大変ではない」と言う。期待通りの答えに相変わらずだなと安心をした。
田口はとにかく野球が好きで、準硬式野球を愛している。その気持ちはひとしおだ。野球が見たい気持ち一心でまだ少しだけ残る授業との両立で忙しいものの楽しいから運営をしているのだという。田口のことだから一手に本当に多くの業務を担っているのだと思う。

特に"新人戦ならでは"の大変さとして、やはりマネージャーの経験不足があるという。これは決して怠惰によるものではなくコロナ禍による部分が大きいと感じる。練習試合を組むことが難しい今の御時世、スコアの練習は中々出来ないし、ましてアナウンスなど経験できないことも多い。事前に運営のシフトを組むのだが、「シフト組んだとしても、その役割(スコアやアナウンス)が出来ないことが多いので、少し大変です。スコアやアナウンスが出来るマネージャーに運営が集中してしまうので、申し訳ない気持ちもありますし、新人戦という短い期間ではスコアやアナウンスを教えられないという歯痒さもあります」。

この日も私の大学のマネージャーが運営担当だったのだが、事情により行けなくなり田口が代わりに役割を果たした。非常に申し訳ない思いだったが、田口は全く問題ないと気丈に振る舞った。この人が上に立つ東都リーグは安泰だ、そう思った。

東都リーグに期待することと課題点
最初に口に出たのは「六大学には負けたくない」。東都リーグとしてのプライドを持ち六大学のブランドは認めつつも負けたくないと話した。先日行われたオールスターでは決勝で六大学リーグに負け、東都リーグは2位となった。かなり悔しかったのではないかと推察する。
ただ準硬式野球に携わるからには上位校同士の勝負、勝ち負けにこだわる勝負、それだけでは準硬式野球の面白さの一面しか見ていないのではないかと語る。「東都リーグの理事長で日本大学のコーチでもある杉山智広さんが本当に大切なことは、"下部と上部の乖離をなくすこと"が東都リーグの課題です。杉山さんは大人がどのように下部のリーグに働きかけて、日の目を浴びる機会を増やしていけるかが我々の責務なのだ、と仰っていて私もその意見に非常に賛同しています」。

もちろん学生だけではリーグ全体の構造や予算の振り分けができるわけではないので、大人が担う役割は大きい。その点杉山さんの功績は本当に大きいものがある。田口同様杉山さんが東都リーグの理事長にいることで東都リーグの未来は好転するとしか思えない。

日頃杉山さんは表舞台に立つことを避けている。理由は学生ファーストの野球だからであると仰っているが、私は学生ファーストだからといって杉山さんのような大人がしてくださることを当たり前のように気付かずにプレーすることには、違和感を覚える。野球人として尽力してくださる方々には謝意を示すべきだ。東都リーグ、ひいては全国の準硬式野球プレーヤーに代わって杉山さんには感謝の意をここで伝えたい。杉山さんの記事は追々出したいと思っている。

話は戻って田口は新人戦の位置づけについて上を目指すきっかけにしてほしいと言う。「上部と下部はその大学数から差があるように見えるが、その実力差はほとんどないです。しかしながら野球をする環境には大きな差があるため差が大きくあるように感じるのではないでしょうか」。
それは新人戦で1部リーグの大学が3部リーグに負けることが当たり前にあることが田口の発言の信憑性を裏付けている。
東都リーグは上に立つ人間に恵まれている。帝京大学の髙﨑健伸(4年=帝京八王子)、今回の田口、ないし杉山さんの話を伺って感じた。
東都リーグが準硬式野球を牽引していることはこの記事を見ればもはや自明の理と言えることがわかっていただけたのではないだろうか。
尽力してくださる方々のために東都戦士は戦う。準硬式野球の"戦国東都"は「競争」ではない、「共闘」なのだ。今後の東都リーグの成長に期待が高まるばかりだ。

(文・山田力也:青山学院大学)