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「九州準硬オールスター杯」レポート【後編】

 今回、昨年度の九州地区の躍進を踏まえて、「つながる、広がる、九州準硬式」をテーマに第1回九州準硬オールスター杯を7/5〜6に福岡大学野球場・久留米大学藤山球場・西南学院大学田尻グランドの3カ所で開催いたしました。今大会は学生が企画し、球場手配、クラウドファンディング、記念品作成、大会広報のすべてを学生で行い、大会を一から作り上げました。大会のレポートを前後編でお伝えします。今回は後編。初代優勝が決まりました。

【参加チーム】
九州六大学
福岡県大学
南九州大学
医歯薬大学
全九州4年生
長崎県大学

11月6日/2日目レポート
▽決勝リーグ/西南学院大学田尻グランド

・第1試合
福岡県大学6-6長崎県大学
 最後まで目が離せない大接戦となったのが長崎県リーグと福岡県リーグの一戦でした。試合が動いたのは3回、長崎県リーグが好機を作ると、長崎県立大・井上善貴(1年)のタイムリーで先制。その後も打線がつながり、この回一挙5点を奪う猛攻を見せます。
 追い詰められた福岡県リーグは、6ー2と4点ビハインドで迎えた6回、九州産業大・兒玉晃征(2年)が満塁の場面でランニングホームランを放つ劇的な一打で一気に同点に追いつき、試合を振り出しに戻しました。
 その後は両チームの継投が踏ん張り、決定打を許さず6ー6のまま試合終了。両者譲らぬ手に汗握る熱戦となりました。

長崎県立大、角拓磨選手(2年)


・第2試合
医歯薬大学8ー7南九州大学
「野球の一番面白い試合は8ー7だ」──フランクリン・ルーズベルトの言葉をなぞるような手に汗握る名勝負が繰り広げられました。
 初回から医歯薬連盟が試合を支配。先発で4番を務めた二刀流の産業医科大・古本純大(6年)がタイムリーで先制点を挙げ、前半は医歯薬ペースで順調に得点を重ねます。このまま一方的な展開かと思われた7回、南九州連盟が反撃。ここまで好投を続けていた古本を捕まえ、熊本大の主将・根間秀(3年)、川崎兼治(3年)の連続タイムリーで追いつくと、満塁のチャンスに4番・鹿児島大医学部の田中太朗(4年)が走者一掃の三塁打を放ち、この回一挙7点を奪って逆転に成功します。
 しかし、その裏、医歯薬連盟も意地を見せます。主将の産業医科大・幸野颯人(4年)が同点タイムリーを放ち、さらに福岡大医学部・大庭光偉(4年)が勝ち越し打。両軍の主将が決定打を放つ熱戦の末、医歯薬連盟が壮絶な逆転劇を演じ、勝利を収めました。

産業医科大・幸野颯人(4年)

南九州連盟


・第3試合
九州六大学 2-2 4年生選抜
 得失点差で大きく離されており、勝たなければ優勝の望みが絶たれる4年生チームと、優勝へ王手をかけた九州六大学による運命の最終戦は、最後まで息詰まる接戦となりました。
 初回、4年生選抜の先発・田中秀弥(久留米大・4年)がピンチを迎え、盗塁の送球間に生還を許し九州六大学が先制。しかし3回、福岡大の山口拓展(4年)・山口紘輝(4年)のコンビが連打でチャンスを作り、同点に追いつきます。その後も両軍一歩も譲らず、1点ずつを取り合いながら試合は最終回へ。
 優勝まであと3アウトと迫った九州六大学は、守護神・久保田優也(西南大・2年)をマウンドへ送ります。先頭の九産大・秦雄大(4年)に安打を許すも、冷静な投球で後続を断ち、最後の打者を見逃し三振に仕留めゲームセット。九州六大学が接戦を制し、記念すべき第1回オールスター杯の初代王者に輝きました。
 抑えた瞬間、九州六大学の選手たちの歓喜の輪がマウンドにでき、勝利の余韻に包まれました。

福岡大・原田陽太投手(3年)

九州六大学



(最終順位)
1位 九州六大学
2位 全九州4年生
3位 医歯薬大学
4位 南九州連盟
5位 福岡県大学
6位 長崎県大学

※引き分けの場合は予選リーグからの得失点差で順位決定。

 

大会総括/川原巧太郎

 初開催となったオールスター杯は、多くの収穫と今後への課題を得る非常に意義ある大会となりました。何より、参加した選手たちが全力でプレーし、楽しそうに野球に打ち込む姿を随所で見ることができたことが、今回最大の成果だったと感じています。初めての開催で不安も多かった中、それぞれの選手が持てる力を発揮し、躍動する姿は大変印象的でした。
 また、球場を貸してくださった大学関係者の皆様、審判団の方々、連盟の運営補助をしてくれた学生スタッフ、多くの支えのもとで大会を無事成功させることができました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

 今大会を通じて、多くの選手がアピールの場とし、選抜チームへの選出に向けて確かな結果を残してくれました。本年度11月に予定されている本戦に向けて、これから夏の鍛錬を乗り越え、さらに成長した選手たちによるハイレベルな争いが繰り広げられることを期待しています。

 来年度以降は、有観客での開催や、より大きな球場での試合実施、大会規模の拡大も視野に入れ、各地域・世代を超えた交流の場としてさらに発展させていく計画です。
最後になりますが、今大会の開催にご尽力くださったすべての皆様、現地でご声援いただいた方々、そして出場選手・スタッフの皆様に心より御礼申し上げます。今後とも、本大会ならびに学生野球の発展にご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

文/川原巧太郎(福岡教育大4年=春日)