東北地区に三拍子そろった新たなニュースターが誕生した。状況に合わせた巧みな打撃、堅実で華がある守備、俊足活かした積極果敢な走塁。まさに対戦する相手にとってはこれ以上ない嫌な存在。その選手の名は、東北学院大学・米倉希胤(まれつぐ)(1年=仙台育英学園高校)。春季リーグ戦では、一年生ながらリードオフマンとして打率3割7分、盗塁数11個を記録し、新人賞と盗塁王のタイトルを獲得。鮮烈なデビューを果たした。また8月に行われる東京六大学選抜との交流戦のALL東北のメンバーにも選出されている。そんなニュースターともいえる米倉に準硬式野球に入ってみて実際に感じたこと、これからの展望などに迫った。
準硬式野球に足を踏み入れた理由
米倉は全国屈指の強豪、仙台育英学園の出身。周りの多くの選手が大学でも硬式野球を選んでいるが、米倉は準硬式野球を選んだ。米倉は準硬式野球を選択した理由として「特に明確な理由はない」と語った。硬式野球や準硬式野球に特別な意識はしていないという。しかしながら、米倉は「準硬式野球をやるならトップのチームで野球をした方が良い刺激をもらえると思い、学院大を選択しました。」と東北学院大を選択した理由を教えてくれた。
高校野球と大学野球の違い
米倉に高校野球と大学野球の違いについて実際にどう感じているのかを尋ねた。
年相応の考えでは学年の差は埋められない
今回のリーグ戦に出場して米倉は、「一言で言えば、練習の大事さに改めて気づけたリーグ戦でした。年相応の考えでは学年の差を埋めることは出来ないとも感じたので、もっと冷静に頭を使っていきたいなと思いました。課題は山積みですが、最多盗塁賞を獲得できたことは何よりの収穫ですし、自信に繋がりました。」と現状に満足していなかった。冷静に自分のプレーを見つめなおし、頭を使ったプレーをすることで一年生という学年の差を埋めようとしている。
準硬式野球を盛り上げるために必要なものは「知恵と情熱と工夫」
米倉に、より準硬式野球が盛り上がるために必要なことを聞いてみた。
準硬式野球部は監督がいるチームが少なく学生主導で練習や試合を行っている。この点はデメリットとも感じられるが、学生ならではの知恵を絞り活動することができるというメリットでもある。実際に、今春のリーグ戦覇者の仙台大は学生主導のチームである。固定概念にとらわれず新たなことにチャレンジしやすい環境にあるのが準硬式野球であるため、このメリットを活用してくるチームが増えるとより盛り上がっていくと感じる。
当たり前のことを当たり前に
今後どういった選手になりたいかを尋ねた。米倉は、「当たり前のことを当たり前にこなせる選手になりたいです。その積み重ねが厚い信頼を生むと思います。」と答えた。筆者から見ると、米倉はチーム内で厚い信頼を置かれているように感じるが現状に満足していなかった。「当たり前のことを当たり前にする」という、自由な環境である大学野球で一番忘れがちなことを、米倉は日々胸に秘めプレーしていく。
今回は、一年生として鮮烈なデビューを飾った東北学院大・米倉希胤(1年=仙台育英学園高校)に取材をした。取材をしていくなかで、常に現状に満足せず高みを目指していることが好成績を残している要因だと感じた。8月に行われる東京六大学選抜との交流戦ではレベルの高い相手にどこまでやれるのか非常に楽しみである。こんな大人びた米倉であるが、まだ大学一年生の春が終わったばかりである。
(文・東北学院大学 佐々木陽矢)