
2025年の夏の甲子園大会は、沖縄尚学の悲願の初優勝で幕を閉じました。その一方で、遠く北海道でも、もう一つの日本一を決める戦いが進行中です。大学準硬式野球の最高峰「第77回全日本大学準硬式野球選手権大会」。この2つの大会はまったく別の舞台に見えて、実は不思議な野球の縁でつながっているのです。
日大三のアルプスにはOBの杉山智広さんの姿
決勝戦に進んだ日大三のアルプススタンドには、あるひとりのOBの姿がありました。杉山智広さんです。2001年、日大三が初めて全国制覇を果たしたときの主将であり、背番号12の控え捕手として優勝旗を掲げた人物です。
高校卒業後、杉山さんは日本大学準硬式野球部に進学。卒業後はそのままコーチとしてチームを支え、現在は大学準硬式野球連盟の運営にも携わっています。特筆すべきは、2022年、準硬式野球界の長年の悲願であった「甲子園での試合」、東西対抗戦を実現させたことです。そのディレクターとして奔走し、コロナ禍で夢を絶たれた高校生たちに「甲子園でもう一度プレーする場」を届けました。今年の11月21日も、杉山さんと学生たちによって4年目の準硬式甲子園大会が実現される予定です。
沖縄尚学から中央大へ、そして準硬式の決勝へ
そしてもうひとつの物語も、今年の決勝カードを彩っていました。
準硬式野球の強豪・中央大学を率いる小泉友哉監督。実は沖縄尚学の出身で、2005年春夏連続で甲子園出場を果たした元主将なのです。2025年、母校・沖縄尚学が聖地で頂点に立ったその直後、北海道・札幌円山球場では小泉監督率いる中央大が決勝に駒を進めました。まさに「母校の優勝に続け」と、もうひとつの全国制覇、しかも13年ぶりの連覇に挑もうとしています。さらに、沖縄尚学の伊志嶺大吾部長もまた準硬式野球のOB。中京大学準硬式野球部に進学し、2006年には全国制覇を経験しています。
準硬式野球は“第2の野球人生”の選択肢
こうして見ていくと、今年の甲子園決勝に関わる両校の周辺には、準硬式野球で育まれた人材が多く関わっていることに気づかされますね。高校野球の「先」にある選択肢として、準硬式野球が確かに存在している証。それが、このつながりの意味だと思うのです。
杉山さんも、小泉監督も、かつては高校球児。そして今は、準硬式野球の現場で、次の世代の若者たちの成長を支えています。
高校野球で夢を果たした人も、果たせなかった人も。準硬式野球という場は、そんな選手たちが再び「野球と向き合う」場所であり、自分の手で野球をつくり、仲間と新たな夢を描くことのできるフィールドです。この夏の二つの決勝は、そんな思いを静かに語っているように思えてなりません。
あす24日、札幌円山球場での準硬式全国大会決勝戦のカードは、中央大対立教大。10時開始。夢を追いかける元高校球児たちの熱戦に、ご注目ください。


(文/樫本ゆき)