オールスター戦と聞いて「思い出作りの交流試合」だと思う人は多いかもしれません。関東JUNKOオールスター大会2025。その舞台には、勝敗を超えた意義と、自ら動く学生委員たちの姿がありました。選手としてだけでなく、運営や広報、地域活動まで担う学生たちの姿勢に、私たち大人が忘れがちな情熱が宿っています。「好きだからやる」「誰かのために動く」そんな当たり前が、こんなにも胸を打つのだと、目の前の3日間が教えてくれる大会でした。本記事は、実行委員長を務めた埼玉大・山中達也学生委員長(4年=県川越)がレポートします。
認知度拡大のため、全試合ライブ中継も実現
関東地区連盟学生委員長の山中です。4回目を迎えた「関東JUNKOオールスター大会2025」。今年も無事2泊3日の行程を終えました。学生による運営、学生による実況、そして地域とのつながり。準硬式らしい多彩な取り組みが、今年も数多く実行されました。
今回、僕たち学生委員は初めてユニホームと帽子の制作にも挑戦しました。デザイン案からサイズ確認、発注、仕上がりチェックまで、全部自分たちの手で行いました。やってみると大変なことばかりでしたが、それでも「この大会に出たい」と思ってもらえるようにしたくて、細かいところまでこだわりました。
参加選手からも「一体感が生まれた」「責任感が高まった」という声をもらって、僕たちの思いが届いていることを実感できました。
YouTubeでの全試合配信も、今年は大会運営委員長・亀谷崇樹さんより配信機材をお借りして全試合9試合を生中継することができました。実況や解説も学生が担当し、回を追うごとに視聴者数も伸びてきました。新しいファン層の拡大にもつながったと感じています。
2ヶ月前から一緒に準備した、西郷村の人たちとの触れ合い
今年初めて行った、福島県西郷村での農業体験・酪農見学。5月末に下見を行った際から「にしごう体験隊」の皆さんには本当に温かく迎えていただきました。
「後継者不足の中で、こういう体験に来てくれるのはありがたい」という言葉が印象的でした。参加学生からも、「なかなか農業体験や酪農見学をする機会はないので新鮮だった」や「自分が食べている野菜や飲んでいる牛乳を作っている方々の苦労や知恵を体感し、より感謝して食べていきたい」といった声が寄せられ、深い学びがあったことを感じています。
大会3日目には、野球イベントも開催しました。地元中学生とBaseball5やキャッチボールクラシックを楽しみ、未経験の小学生にはティーボールやストラックアウトの体験ブースも用意しました。日本大・久保田理江子さん(3年=日大櫻ヶ丘)が作ったJUNKOステッカーが子どもに人気でよかったです。選手たちも、交流試合のあとに疲れも見せず、子供たちと接してくれました。メンバー表やパンプレットを保護者に配ってので、大学準硬式に興味を持ってもらいたいですね!
選手だけでなく、学生委員たちもそれぞれの持ち味を発揮した
もちろん課題もあります。野球イベントの際、「どの大学の学生かわからないから、ユニフォームを着てくれた方が良い」という声を保護者の方からいただきました。大学名を見て興味を持つ中高生がいるかもしれない。そう考えると、今後は野球イベントでは所属大学のユニフォームも準備するなど、見せ方も工夫が必要だと感じました。
そして、冠スポンサーの「致知出版社」の研修会で学んだ「美点凝視」という視点も今大会を通じて大切だと感じました。
日本大・小菅太愛(4年=冨岡)は学生委員として3年連続で帯同し、会場やスケジュールの容量が掴めていないメンバーをフォロー。
成蹊大・今村太陽(4年=鹿島)は、致知出版社の研修会での司会や、班分けを効率の良い方法で提案してくれました。
日本体育大・菊地邑果(3年=駒大苫小牧)は開会式の司会を務めあげ、試合後ヒーローインタビューやイベント進行でつけた自信を、準硬式女子野球の選手としても発揮してくれるのではないかと期待しています。
反省すべき点に目を向けることも大事ですが、それ以上に「自分ができたこと」「少し成長できたこと」に気づき、自分を認めること。次の大会をより良いものにしていくため、参加した17名の学生委員で話し合っていきます。
最後になりますが、あらためて西郷村の皆さん、参加してくれた選手たち、そして見守ってくださったすべての方々に、心から感謝申し上げます。この3日間が、準硬式野球の未来を少しでも照らすものになっていたら、僕たちにとってこれ以上の喜びはありません。
(文・山中達也/関東JUNKOオールスター2025大会委員長)
メイン写真:写真西郷村のスタッフと選手のショット