高校野球を終えた先に、どんな野球の道があるのか。その一つの答えが、大学準硬式野球のオールスター戦にあります。「勝てないチームにも、光る選手はいる」。帝京大の橋本佳典さん(4年=山村学園)はそう言って自ら大会運営に奔走しています。今春引退したばかりの元選手であり、関東JUNKOオールスター2025の運営委員。選手として、運営として、この舞台の価値を誰よりも知る彼に大会の意義と見どころを聞きました。
選手と裏方の二刀流ができるのが準硬式
帝京大学準硬式野球部4年の橋本佳典です。今はプレーからは引退しましたが、関東の大会運営委員長として今も関わっています。今回、自分が関わる「関東JUNKOオールスター2025」について、選手目線で紹介させてください。
このオールスター戦は、ただの交流戦ではありません。関東6大学、東都、神奈川、北関東、新関東といった各リーグから、それぞれのカラーやレベルを代表する選手たちが集まります。実力だけじゃなく、志を持った選手が一つのチームとして寝食を共にしながら、野球を通して価値観を分かち合う。そんな場所です。
見どころを挙げると、投手では中央大の葛西陸投手(1年=花巻東)。1年生ながらリーグ戦でもすでに結果を残している左腕です。背番号17で、スライダーやツーシームのキレが良く、コントロールも抜群。プレーは冷静だけど、心の中には熱さがある。準硬式を代表するようなピッチャーだと思います。
バッターでは、青山学院大3年の植木元太選手(川和)。学生委員を兼ねていて、選手としても頼れる存在。チームを超えてリーダーシップを発揮してくれる選手です。「準硬式野球で、野球人生にもうひと花咲かせたい」と信念を持つ選手で、今大会では東都Bの選手で出場しながら、メディア媒体で記事を執筆する担当にもなっています。選手と裏方の二刀流ができるのも、準硬式の魅力です。
勝てなくても努力してきた選手たちが、見てもらえる場
このオールスター戦は、リーグ戦でチームが勝てなかったとしても、個人の力でチャンスをつかめる場所です。実際、僕の同級生で帝京大の高橋諒(生田東出身)は、高校時代そこまで目立っていたわけではなかったけど、大学で努力して関東大会では高打率を残し、オールスター戦にまで出てきました。
甲子園常連校じゃなくても、有名じゃなくても、ここでは努力していればちゃんと見てもらえる。オールスターに選ばれた選手たちは、その証明でもあります。YouTubeライブでの配信も予定していますが、もし可能なら、球場に足を運んでもらえるとうれしいです。
「準硬式野球って、こんなにおもしろいんだ」って思ってもらえると思います。
文/橋本佳典(帝京大4年=山村学園)
写真
狭山西武ボーイズで全国大会出場。高校野球でも強豪校で鍛え、最後は準硬式で「自分の野球」を開花した橋本選手。引退後は学生委員を務めながら、出身チームで中学生たちをコーチングをしている