令和7年度春季北信越地区大学準硬式野球大会(6月7日〜9日/予備日10日)が、長野県内で開催される。4・5月に行われた予選リーグを勝ち抜いた12校が、本戦トーナメントに挑む。優勝チームは8月に北海道で行われる全日本選手権の出場権を得られる。
今回は北信越地区大学準硬式野球連盟の学生広報が、本戦トーナメントの注目チームをピックアップ。予選リーグを3位で終えた金沢大学法文経国際学部に、本戦に向けて高まるチームの仕上がりと意気込みを、現場の声とともに取材を通じて追った。
金沢大学法文経国際学部(以下法文)は学年を問わず1、2年生のフレッシュさと3、4年生の経験値が合わさった個々のポテンシャルが高いチームだ。
「考えながら野球をする」というテーマに、予選リーグでは全試合で異なるクリーンナップを起用。3〜5、6〜8番の2つのクリーンナップをイメージに厚みのある打線を形成している。
また、学業との両立も徹底するのが、彼らのスタイル。全国でもレベルの高い学力を誇る金沢大学。その中でも法学・人文学・経済学・国際学・総合教育部の文系学生が集う「法文」は、野球だけでなく学業との両立にも力を入れている。試験前には勉強会を開くなど“準硬×勉強”の二刀流に真正面から挑んでいる。
限られた練習環境でも確かな工夫を
平日の練習拠点は、金沢大学の野球部グラウンドや狭いソフトボールグラウンド。多学部の学生が在籍するため、平日に全員が揃うことは難しい。週末は学外グラウンドを使用するものの、平日は硬式野球部を含む6チームでグラウンドを共用しており、練習環境は決して恵まれているとは言えない。
しかし限られた練習環境でも法文の練習風景からはハンデを感じさせない。選手たちは「明るい雰囲気で、考えながら練習する」ことを重視。ときに“うるさい”と自称するほどの賑やかさの中で、ワンプレーごとの最適解をチームで共有し、質の高い練習を実現している。
“死のリーグ”で見せた手応えと悔しさ
春季予選リーグで法文が属したCブロックは、“死のリーグ”と称される激戦区。そこには前年度の王者・福井大学医学部、そして準優勝の金沢星稜大学という強豪が待ち構えていた。試合序盤、法文は持ち味である明るく積極的なプレーで先制点を奪い、勢いに乗る展開を見せた。しかし中盤以降、守備のミスや連打を重ねてしまい、いずれの試合も逆転を許す展開に。
「勢いを勝ちにつなげきれなかったのが悔しい」と、選手たちは振り返った。それでも、1年生の台頭や復帰した4年生の活躍など、今後につながる収穫もあった。本戦では、その悔しさを糧に、福井大学医学部と金沢星稜大学へのリベンジに燃える。
注目選手は、三上 陸(2年=長野吉田)
内外野をこなすマルチプレイヤーであり、上位打線の一角を担う。走・攻・守すべてに秀でたトップクラスの選手。予選リーグの福井医学戦では、二死満塁から走者一掃のツーベースを放つ勝負強さも光った。持ち味は積極的な走塁で、1番・増永恭也(4年=藤島)とのコンビでの活躍が期待される。
“下剋上”を胸に、本戦へ挑む
リーグ戦を3位で終えた法文は、「下剋上」をテーマに本戦に臨む。主将・宮野は力強く語る。
「新チーム発足時から目標としてきた“全国大会出場”に向けて、一戦一戦全力を尽くし、今大会で躍進します。
彼らを支えるマネージャーも、「今年の法文は北信越優勝を狙えるチーム」と語る。
全国の舞台へ。挑戦者・法文の“下剋上”が、今まさに始まろうとしている。
チーム自己評価(★5段階)
攻撃 :★★★★★
守備 :★★★☆☆
走塁 :★★★★★
団結 :★★★★☆
投手 :★★★☆☆
(文:加藤雄大 3年=金沢星稜大学)