8月8日より、愛知県名古屋市・瀬戸市において「第63回全国七大学総合体育大会」通称「七大戦」の準硬式野球部門が開幕する。
七大戦とは旧七帝大(北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学)間で行われる体育大会であり、40を超える競技種目の順位によって得点をつけ、総合順位を競い合う。参加人数は8,000人を超え、学生主体の大会としては日本最大級の規模だ。これらの大学は全て起源を戦前の帝国大学に持っており、毎年各大学がその歴史と誇りを胸に、熱い戦いを展開する。七大学の持ち回りで開催され、東京大学主幹で行われた昨年は地元の東京大学が総合優勝、準硬式野球部門においては過密日程を攻略した名古屋大学が優勝を収めた。
今年度の主幹は名古屋大学。前年度優勝校が地元で各校を迎え撃つこととなるが、果たしてどんなドラマが待っているのか。今回は前年優勝の名古屋大学、準優勝の東北大学を取材し、チームカラーや注目選手など、今年の七大戦準硬を楽しむ上での必修ポイントをまとめた。
"チームプレーで頂点へ" 名古屋大学
一番の注目は前年優勝校であり、主幹校の名古屋大学。昨年度は雨の影響で準決勝、決勝がダブルヘッダーとなる過密日程ながら、3試合で28得点の強力打線を武器に、優勝を掴み取った。しかし今年のチームカラーは一転して守り勝つ野球。徹底したチームプレーからロースコアゲームをものにし、2008年以来の連覇を狙う。
そんな名古屋大学の注目選手は、投打でチームを引っ張るユーティリティプレイヤーの松永丞生(3年=金津)。投げては速球を武器に三振の山を築き、打っては巧みなバットコントロールでチャンスをもたらす。二刀流でチームを引っ張る松永の活躍が、連覇の大きな鍵となる。
"つながりを武器に雪辱を"東北大学
その名古屋大学に立ち向かうのが、昨年のリベンジに燃える東北大学だ。今年のチームの一番の武器は切れ目のない打線。どこからでも得点できる攻撃力で、守り勝つ野球の名古屋大学をどこまで攻略できるか。チームとしても学年を超えたつながりが強く、ひとつにまとまった時の力は計り知れないという。
東北大学では、扇の要を担う正捕手の上谷 幸太郎(4年=県立浦和)に注目したい。東北選抜として9ブロック大会にも出場した実力者で、広い視野と深い洞察力が持ち味だ。打撃面ではチャンスに強く小技の引き出しも多く、攻守の両面で東北大学の核となり、他大学の前に立ち塞がる。
第63回 七大戦 準硬式野球部門 開催概要
正式名称:全国七大学総合体育大会 準硬式野球部門
会 期:2024年8月8日(木)〜11日(日)
会 場:瀬戸市民公園野球場、名古屋大学野球場
参加大学:北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学
前年優勝:名古屋大学
同準優勝:東北大学
編集後記
七大戦は1962年に第一回が開催され、準硬式野球は1968年の第七回大会から競技に加わっている。長い歴史を持つ大会でありながら、私は準硬式野球界全体で見ればもっと注目が集まっていい大会だと感じている。旧七帝大の準硬プレイヤーたちは熱い気持ちを胸に野球と向き合っており、また文武両道が叶うという準硬式野球の魅力を存分に体現している存在である。この大会が周知されることは、準硬式野球という競技のアイデンティティを形成するものですらあると考えている。歴史ある大会をさらに広く応援されるものとしたい。この想いのもと、これからの四日間の大会期間中、責任を持って選手たちの熱戦をお届けしていく。
(文:白村崇/東北大学3年=旭丘)
(文:白村崇/東北大学3年=旭丘)