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全日本準硬式トップ・西椋生(岡山大)が発揮する手腕と野望

13日、全日本大学準硬式野球連盟設立75周年を記念しての準硬式東西対抗日本一決定戦甲子園大会は、雨天による中止が決定した。西日本選抜の選手として選出された岡山大の西椋生(3年=向陽)について紹介する。

 西は全日本大学準硬式野球連盟の学生委員長を2年次から務めている。通常委員長という肩書きは4年生が担うケースが多いにもかかわらず、2年次から委員長の座にいることを鑑みれば、大学準硬式学生のトップに君臨しているとも言える。ただし西は学生同士にヒエラルキーがあるとは考えておらずあくまで客観的な役職上の話だ。

 また、全日本の委員長を務めながら岡山大準硬式野球部でプレーヤーとしても活動し、主将を務めている。上下関係はほとんどなく、勉強もバイトも両立でき、多きい裁量権が選手に委ねられている点が非常に気に入っているという。また野球面としても硬式と同じ打感で打てるところも準硬式の非常に大きな魅力だと話す。

ベストナインと盗塁王を獲得した西。センスあるプレーで中国地区を牽引する

 2年次から学生委員長を務めるだけあってその手腕も「全国レベル」だ。
 全日本の大会が近くなると委員長の仕事は盛りだくさんだ。参加する大学に対しての諸々の通知、選手の体調管理システムの管理、参加理事の体調管理及び参加理事への連絡、さらにはYouTubeでのLIVE配信の準備までやらなくてはならないことは本当にたくさんある。無論、全日本の優秀な学生委員たちで仕事を分担するのではあるが、その分担についても西主導で決定し、統括せねばならない。自チームでプレーヤーとして主将を務め、アルバイトをし、岡山大での授業がある中で、だ。同じ学生とは思えないくらい優秀であることが何となくでもお分かりいただけるだろう。

 上記の激務に対して見せていないだけなのかもしれないが、苦しさを感じていない。激務に上回るやりがいを感じているからだ。西の感じるやりがいとは全日本の優秀な学生と共に協力して活動することにあるのだろう。「全日本の優秀な学生委員」とは先の記事で紹介した近藤みのりのような方々のことを言う。ぜひ改めて記事をご一読いただきたい。

東海地区が誇る超敏腕マネージャーの道程 愛知大・近藤みのり - JUNKO WEB|準硬式がアツい!

 加えてモチベーションの根底には、一つの言葉があるという。それは全日本大学準硬式野球連盟の会長の「1年間ではなく2年間。在学中だけでなく卒業後も、少しでも長く準硬式野球に関わっていてほしい」。という言葉だ。少しでも長く自分が学生委員や選手として準硬式野球に携わっていたいし、少しでも長く準硬式に「携わりたいと思わせる」準硬式野球作りに対して西のやる気は掻き立てられるのだという。

 西が全日本の学生委員長として全日本を盛り上げたいという使命感があるのは先述の通りであるが、もう一つ、「全日本の経験を自身が所属する中国地区に持ち帰る」という使命感もあるようだ。

 現状の準硬式野球を見ると、客観的に見て関東地区がPRの面において他地区の1枚上を言っているということができるだろう。一球速報の導入、LIVE配信の先駆けとなったこと、SNSでのPR力から見て判断できる。関西地区は、野球の実力で関東にひっ迫する、もしくは上回っているということが出来る。東海地区は先に紹介した記事にあるように、近藤みのりの登場によってSNS活動をはじめとするPR力を増している。東北地区も同様だ。
 しかし中国地区は残念ながらPR力という面ではではSNSをはじめとして、後れを取っているというしかない現状がある。中国地区にも準硬式野球の魅力が潜在しているにもかかわらず、だ。

 そんな他地区と中国地区を比べて西は
「関東、関西はもちろん東海や東北地区の盛り上がりを感じていて負けたくないという気持ちがあります」と語る。野球のレベルはもちろんSNSをはじめ「中国の準硬」の認知を上げたいと語る。そのための施策として自分が全日本学生委員長を務めることによって、ノウハウを持ち帰る、又はPRに効果的な人脈を広げるといった贅沢な「副産物」を手にしようとしているのだ。現に西が学生委員長ではなかったらこの記事も存在していたかわからない。西は自ら広告塔としての役割も担っている。したたかで、非常に賢明な中国地区の策士なのだ。

 いかがだっただろうか。学生レベルとはいえどここまで思考を働かせて活動をしているのだ。非常に優秀な学生が全日本という準硬式のトップに立つ組織の長に君臨しているのだ。しかしながらこのような西の働きはこのように記事にしないと顕在化しない。それは西をはじめとするすべての学生委員に言えることだ。裏ではこんなにも優秀な学生が束になって準硬式を支えているということを知っていただければ幸いである。
 今回、西日本選抜の選手として甲子園大会の遠征に参加したことで、中国地区の広報活動がさらに発展していくことになるだろう。雨天中止となったが、様々な経験で感化された西の施策による準硬式野球の発展と、中国地区の成長から目が離せない。

(文/青山学院大3年・山田力也)

西日本選抜のユニホームの背番号は、憧れのプロ野球選手と同じ番号を選んだ。

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