昨年行われた、東北地区王座決定戦で歓喜の渦の中心にいたのは東北学院大であった。学院大は、東北地区でも唯一の全国大会優勝経験のある伝統校である。しかし、昨秋のリーグ戦は3位となり背水の陣として挑むことになった今春のリーグ戦では、歓喜の渦にその大学の姿はなかった。学院大の目標として、全大会優勝を掲げていただけに悔しい結果となったが、全員野球で堂々の準優勝を収め清瀬杯への出場権を獲得した。
準優勝を収めた要因
今大会準優勝を収めることができた要因として、主将の佐島隼人(4年・東北学院高校)は、「秋の敗北から実践メインの練習に方向性を変え、チームの底上げを図った。1年から4年まで野球を通してコミュニケーションを取り、学年間の壁を壊し、雰囲気良く取り組めた結果が準優勝に繋がった。」と振り返る。昨秋の秋リーグでは、仙台大と青森大に接戦の末敗れ、チームの底上げが急務となった。そこで、紅白戦などチーム内での実践を通し競争を促した。また、現在チームは40名いるためチーム内での円滑なコミュニケーションが取りづらい状況であった。
しかし、紅白戦などで学年を混ぜることでコミュニケーションをとるようにし、縦の学年のつながりをうんだ。また、今大会よかった点として佐島は、「野手は先制点。投手はゼロで抑えることを共通認識として持ち、全員で勝利に向け、取り組めた点。」を挙げた。先行逃げ切りの形で、堅守をテーマにできた点が勝ち星を積み重ねた要因といえる。このように、全員でチームを作り上げた全員野球が準優勝の大きな要因といえるだろう。
東北地区1の投手陣
今大会で学院大は、最もチーム防御率が低く失点数も一番少なかった。この素晴らしい成績を収められた要因として、チームの投手リーダーの佐竹光人(4年・泉松陵高校)は、四死球の少なさ、決め玉の精度が高かったことの二つを挙げた。今大会の学院大の与四死球は最も少なく21個であり、二番目に少ない青森大の37個と比べるととても少ないことがわかる。学院大も多くの試合を継投で勝ち上がった。先発の二枚看板、佐竹光人、荒井要人(4年・仙台城南高校)の二人が安定した投球を見せ、途中から紫葉優太(3年・東北高校)がマウンドに上がることが多かった。役割分担を決め、各々が安定した投球を続けたことが堅守のチームを作り上げたといえるだろう。
今大会MVP
今大会のMVPに主将の佐島は、三浦裕貴(4年・柴田高校)を挙げた。理由として、「全試合4番として出場し、首位打者を獲得するなど強打者ぶりをアピールしチームに貢献した。また副主将としてチームがより良い方向に進むよう尽力。後輩から常に頼られている印象があった。」とこれらを挙げた。三浦は、4割8分6厘のアベレージを残しながら捕手として、副主将としてチームをまとめた必要不可欠な選手であった。試合では自然と「裕貴まで回そう」という声が挙げるほどチームからの信頼が厚い。チームの中心として、必要不可欠であったことは間違いないだろう。
学院大は準優勝を収めたことで、9月3日より開催される清瀬杯に東北地区の代表として参加する。佐島は、「全日に出場することは出来なかったが、清瀬杯に出場するのは東北地区では1チーム。誇りと責任を持って闘いたい。また4年生にとっては負けたら引退というプレッシャーがある。準硬式野球生活を後悔なく終えるためにもしっかりと準備をして優勝という目標に向け、突き進みたい。」と意気込んでいる。昨年出場予定だった全日本選手権では、出場辞退という悔しい結果となった。3年ぶりの全国の舞台となるが、東北地区の代表として最後歓喜の渦の中心にいることを願いたい。
文:東北学院大学3年佐々木陽矢